「忙しすぎて振り返る余裕なんてない…」そんなあなたにこそ伝えたい、業務効率を上げるシンプルな習慣。

先輩みたいに仕事が早くなりたい…
でも、“ただ経験を積む”だけでは、効率のいい動きは身につきません
実は、業務のムダを減らすカギは「リフレクション(振り返り)」にあります。
経験が浅いうちからリフレクションをすることで、以下のような力が身につきます。
- 業務の効率化を考えて仕事ができるようになる
- 急変対応、多重課題にも対応できるようになる
- 業務がスケジュール通りにでき残業を減らせる
自分のため、チームのためにも、ぜひリフレクションを試してみてください。
- 業務に振り回されている
- 定時に退勤できず残業時間も多い
- もっと効率よく業務ができるようになりたい
リフレクションとは


リフレクション(内省)とは、簡単に言えば振り返りです。
ただし、業務が終わった後の感想でもなければ、反省するものでもありません。
- 「なぜあんなことをしたのか」
- 「あの時は、こっちが優先すべきだったか」
- 「あの声かけはよかったのか」
など、自分の行動や考えの理由や原因を探り、客観的に自己分析をします。
自分の業務パターンや考えなど、自己分析を通して自分自身で気づくことで成長につながり業務効率の向上を期待できます。
リフレクションは反省ではない
振り返りというと、反省を思い浮かべるかもしれませんが、リフレクションは反省とは違います。
リフレクションは、誤った行動を責める「反省」ではなく、自分の行動や考えを客観的に見つめる「気づき」の作業です。
悪いところだけを見るのではなく良い点も含めて自分の行動を振り返ることが大切なのです。


リフレクションとフィードバックの違い
フィードバックは、自分の行動に対してリーダーや先輩から意見や指導をもらうことです。
リフレクションは自分自身の行動や考えを振り返るものなので、第三者から意見をもらうようなことはしません。
リフレクションの実践


業務が終わってから業務のことを考えるのは一手間かもしれませんが、誰かと共有するわけではありません。
お風呂に入ったときや通勤などの隙間時間にその時の状況を思い浮かべて考えてみてください。
コルトハーヘンが提唱したリフレクションのフレームワークとして、ALACTモデルがあります。
- Action:行為
- Looking back on the action:行為の振り返り
- Awareness of essential aspects :本質的な諸相への気づき
- Creating alternative methods of action:行為の選択肢の拡大
- Trial:試み
ここではあまり難しく考えずに、なるべく簡単にリフレクションを実践できるようにわたし流のリフレクションをALACTモデルの段階に沿って解説していきます。



今から解説する内容はわたしが実践していた方法ですが、看護業務の効率に活かせるように考えた個人の解釈と振り返りの方法です。
行為
どんな場面だったかの振り返りをします。
例えば多重課題があった時、
- 自分はどのような行動したのか
- 報告のタイミングは
- 周りは落ち着いていたか(もしくは忙しく煩雑な状態だったか)
- どんな業務をしなければいけなかったか
など、状況の事実を振り返ります。
背景を具体的に思い出せると気づきが多いかもしれません。
行為の振り返り
自分の行動に対して、「できたこと」「したかったこと」「感じたこと」についてなぜを繰り返して振り返りをします。
- なぜ、業務が重なったのにスムーズにできたのだろう?
- もっと早く報告したかったのになぜできなかったのだろう?
- なぜ、あの時煩雑な状況になっていたんだろう?
- 業務量的にはいつもと変わらないのに、なぜいつもと違ったんだろう?
次の段階で内面的な部分について問いかけをするため、ここでは行動のみに「なぜ?なぜ?」を繰り返します。
本質的な諸相への気づき
行為の振り返りに対して、
- 「なぜ自分はそう感じたのか」
- 「また相手はどう感じただろう」
- 「どんなことを考えていたのか」
など、内面(気持ち)についてなぜを繰り返して振り返りをします。
まずは、自分について振り返ります。
- あのタイミングで声かけれたのに、なぜ声かけなかったんだろう?
- 処置の介助に入ったときすごい焦ってしまったけどなぜだろう?
行動には感情がつきものです。感情の変化によって行動に変化が出ることもあります。
その変化に「そんな時もあるか」じゃなく、「なぜそう感じたのか」振り返ってみてください。
次に相手の考えや気持ちついて考えます。
ただ、相手の考えや気持ちはあくまで予想で考える部分です。
しかし、「機嫌が悪い」「落ち込んでる」「喜んでる」など、感情は表情や話し方に現れます。
業務しているときは忙しくて気づかないことも、その時の状況や相手の表情、声、話し方などから予測できるため、相手の内面についても分かる範囲内で振り返ることが大切です。
行為の選択肢の拡大
自分の行動と考えを振り返ったら、今後自分はどのように行動したら良いかの選択肢を考えます。
「予測して早めに行動する」「周囲に声をかける」「早めに相談する」など、具体的な行動につなげていきましょう。
さらに、今後に活かすためにどうすればもっとよくなるかを考えます。
もしあの場面で、、、
- 入院がきたら
- 急変したら
- ナースコールがなったら
- 電話が鳴ったら
- メンバーにあの人がいたら
- リーダーがあの先輩だったら
などあらゆる場面を想定して考えます。
実際にその場面が現れるかどうかはわかりませんが、広い視野を持って考えることは大切です。
状況に応じての選択肢を考える力をつけることが、いざという時に冷静に対応できる力や優先順位を考える力をつけることができるようになっていきます。
試行
振り返りしたことを業務内で取り入れられるところは実際に行動していきましょう。
そして実践したことをまたリフレクションして振り返ります。
そうしてサイクルを回しながら振り返りをすることで、経験値が増え、結果、業務効率の向上につながっていきます。
リフレクションを業務効率に活かすには


リフレクションを習慣にすることで、自分の考え方や行動パターンに気づき、優先順位の判断や対応力が身についていきます。
それにより、業務中の「迷う時間」や「立ち止まる時間」を減らせるため、結果として仕事の流れがスムーズになります。
また、同じような場面に出会ったときに「前はこうしたから今回はこうしよう」と判断できるため、経験の積み重ねが自分の中に可視化され、効率的な動きができるようになります。
忙しい現場でも、冷静に判断しながら動ける力をつけるために、日々のリフレクションを業務に活かしてみましょう。



初めのうちは難しいしれません。しかし、「振り返って試行錯誤する」を繰り返し続けていくことで、考える力・予測する力が身につき、徐々に業務効率が向上してる実感が湧いてきます。
まずは気軽にリフレクションを始めてみよう


リフレクションと聞くと、難しそう・面倒くさそうと思うかもしれません。
ですが、特別な時間を確保したり、ノートに書き出したりする必要はありません。
通勤中やお風呂の時間などのちょっとしたスキマ時間に「今日のあの場面、自分はなぜあの行動を取ったのかな?」と考えるだけでOKです。
大切なのは、反省するのではなく、自分の思考や行動を「振り返ってみる」こと。少しずつでも習慣にしていくことで、気づきが増え、仕事の質も自然と高まっていきます。
まずは、気軽に、できる範囲から始めてみましょう。