【看護業務の効率化】もう迷わない!今日から使える優先順位の考え方

「今日もまた仕事が終わらなかった…」
「なんで後回しにしたの?ってまた先輩に言われた…」

看護師の業務はスケジュールがびっしり詰まっている中、予定外の業務も多くて時間に追われる毎日。気がつけば定時に近づき、業務が時間内に終わらず先輩に指導を受ける。

そんな毎日の業務を行うときに必要なのが、優先順位をつけることです。

優先順位の考え方は、「経験が浅いからできない」のではなく、ちょっとしたコツを知るだけで、誰でも身につけられるスキルです。

この記事では、優先順位の立て方をわかりやすく解説し、明日からすぐ実践できる方法をご紹介します。

こんな人に読んでもらいたい
  • 優先順位の立て方がわからない方
  • 優先順位が立てられず業務に追われてる方
  • すぐに活かせる優先順位の考え方を知りたい方
目次
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優先順位が重要な理由

看護の現場では、同時にいくつものタスクが発生します。これは多重課題とも言われますが、身体は一つ、腕は二本、分身でもいない限り、全てを一人で同時にやることは難しいです。
限られた時間の中で、すべてを完璧にこなすことはできません。
だからこそ、「今、何を優先してやるべきか」を判断する力が必要になります。

優先順位をうまくつけられるようになると、以下のようなプラスの変化が生まれます。

  • 時間に余裕ができる
  • ミスや抜けが減る
  • 冷静に動けるようになる


逆に、この力が不足していると、以下のような状態に陥りやすくなります。

  • 目の前の業務に振り回される
  • 焦りからミスが増える
  • 先輩からの指導が多くなる

優先順位は、才能や勘で決めるものではありません。

判断基準を持ってアセスメントすることで、少しずつ身についていきます。

優先順位を考える時の5つの判断基準

多重課題に追われる中で、何を優先すべきか迷ったときは、判断基準を持っておくことが大切です。

ここでは、現場で使える5つの視点をご紹介します。

【緊急度】今すぐ対応が必要なもの

患者さんの命や状態に関わることは、最優先です。

  • 人工呼吸器の装着中の患者の呼吸状態の悪化や機械トラブル
  • 血圧低下、意識レベル低下などショックバイタル
  • 生命に関わるデバイスを抜去しようとするなどの不穏行動がある

生命に関わる問題は、他のどんな業務よりも優先して対応します。

【重要度】患者の安全や予後に関わるか

緊急ではないけれど、放っておくとリスクがあるケアも大事です。

  • 治療に関わる禁忌事項の説明
  • 症状の違和感を訴えている
  • 時間指定がある薬剤投与

すぐに命に関わるわけではないけれど、優先順位を間違えると緊急度に変わる可能性があります。

【時間制限】決まった時間の予定がある

検査や手術など決まった予定があるものは、時間通りに実施できるようにスケジュールを立てましょう。

検査や手術は他職種との関わりや、その順番を待つ他の患者さんに迷惑がかかります。

また、時間に遅れると順番が後にまわされて患者さんを待たせてしまったり、その後の業務に遅れが出たりする可能性があります。

「〇時にCT」「〇時に手術室搬送」がすでに決まっている場合は、 着替えや搬送時間を逆算して動くことが大切です

着替えには時間もかかるため、少し時間に余裕があるときに準備しておくと、時間通りに業務を行うことができます。

【代替可能性】自分でやるべきか、任せられるか

優先度の高い業務があるときは、一時的に他の人にお願いすることもありますが、自分がやるべきか、任せてもいい業務なのかの判断が必要です。

担当患者さんへの点滴や処置など、担当患者さんに関わることは患者さんの状態を一番よく知る担当看護師がやるべきです。

逆に、ナースコールの対応や物品補充などは任せてよいこともあります。

ただし、いつもいつも任せきりにしていると「やらない人」になってしまいます。日によって業務量は違います。自分に時間に余裕があるときは、他の人の業務をサポートすることも大切です。

【患者の安全】その行動が安全につながるか

どんな業務でも、最終的には「患者さんの安全」が最も重要です。

  • 転倒リスクのある患者さんの見守り
  • 不穏リスクがある患者さんの見守り

急を要するものではないけれど、安全のために必要なケアになります。

常にそばにいる必要がなくても、定期的に観察に行ったり、声をかけたりするなど、自分の個人的な業務をする前に優先することで、危険を回避できることもあります。

この5つの基準を意識するだけで、業務に優先順位をつける判断がぐっとしやすくなります。
最初は難しくても、少しずつ使い慣れていくことで、優先順位を判断する力が自然と身についていきます。

ひとことコラム

業務の一つに記録がありますが、記録が終わらず残業になるケースが多いため、記録を優先する看護師もいます。
しかし、記録の優先度は高くありません。優先順位を考えて業務をしていると、余裕ができ記録する時間も捻出できるようになってきます。まずは患者さんの対応が優先です。

優先順位の立て方5つのステップ

多重課題の場面では、目の前のことに追われてパニックになり、逆に動けなくなることもあります。
 

そんなときに優先順位の立て方に「手順」があると、頭の中を整理しやすくなります。

ここでは、業務が集中しがちな日勤帯を想定して、5つのステップに分けてご紹介します。

全体の把握

受け持ち患者の状態、予定されている処置や検査、医師の指示などを、申し送りやカルテでしっかり確認しましょう。

「どの患者に」「何が」「いつまでに」必要なのかを把握するのが最初の一歩です。

情報収集の方法は以下の記事で紹介しています。

タスクを書き出す(ToDoリスト)

頭の中だけで整理しようとすると、抜けや漏れが起こりやすくなります。

多忙になると忘れてしまうこともあるため、やるべきことをすべて書き出すことが大切です。

ポケットメモや付箋を使ったり、時間の整理も兼ねて時間軸のタスクシートをつくることをおすすめします。

病院のソフトによっては、時系列で処置内容などが記載されたものが印刷できる場合もあります。可能な場合は利用することでタスクを書き出す時間を短縮できます。

判断基準で並べ替える

先ほど紹介した5つの判断基準をもとに、タスクの優先度を整理します。

たとえば、1日のスケジュールの中で「すぐ実施すべき」「できれば早めに」「後回しでもOK」など、3段階に分類するだけでも頭がスッキリします。

なんとなくで分類するのではなく、優先すべき理由を言えるようにすることが大切です。

その中で、業務の順番をつけていきます。一つの業務が終わるたびに「次はどれかな?」と考えていては時間が足りません。

「これをして、次はこれをして」と1日のスケジュールを勤務開始前に決めてしまいます。

スケジュールの変更には柔軟に対応する

ステップ3では1日のスケジュールを決めると言いましたが、医療の現場ではイレギュラーがつきものです。ナースコールや急変、医師の新たな指示などで予定はどんどん変わります。

そのため、優先順位は都度見直す必要があります。しかし、すでにスケジュールを考えて可視化していることで、変更にも柔軟に対応しやすくなります。

また、一つの業務が終わる度にスケジュールを確認します。

  • 予定通り進んでいるか
  • どのタイミングだと余裕がありそうか
  • 次の業務が終わったら、次は何をするか

優先順位を決めるには、どんな業務が残っているかの把握も必要です。

  • 「できているもの」
  • 「できていないもの」
  • 「すぐやるべきこと」
  • 「〇〇の次にやること」

「予定が変わればメモを追加」「実施終了したものは消す」など自分なりのチェック方法で整理することで、優先順位の見直しがしやすくなります。

業務が終わったら振り返る

少し時間があるときに、「今日は何を優先して、なぜそう判断したのか」を簡単に振り返ってみましょう。

患者さんに影響がなければ、優先順位の考え方に大きな間違いはないですが、自分の業務効率を考えるともっと良い優先順位があるかもしれません。

なんだかうまくいかなかったな。と感じた日は、先輩に相談するのも大事な学びの一つになります。

自分自身で振り返る方法について以下の記事で紹介しています。

優先順位は“経験で磨かれる”スキル

優先順位は、知識と経験の積み重ねで少しずつ身についていくスキルなので、今すぐできなくても大丈夫です。

10年以上看護師をしているわたしも、1年目のときは業務に追われて休憩時間を十分に取れなかったり、残業も毎日していました。

今では時間内で業務が終わるようになりましたが、それは経験年数だけでなく、振り返りのおかげだと思っています。

落ち込む日もあるかもしれませんが、少しずつ前に進めばそれでOKです。わたしは今も毎日振り返りをしています。

「なぜそうなったか」「次はどうするか」と振り返って次に活かすことが業務効率につながります。これから一歩ずつ成長していきましょう。

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