
「本当は今の職場を辞めて、もっと自由に働きたい。でも、派遣になると退職金が出ないから将来が不安…」
そう思って、今の働き方を我慢していませんか?
そんな派遣看護師の不安は、iDeCo (個人型確定拠出年金)の仕組みが味方になってくれます。
わたし自身、派遣看護師だと退職金がないな。と漠然とした不安を抱えていました。
しかし、iDeCoについて調べていくうちに、これは単なる年金準備ではなく、自分で退職金を作るツールとして使えば、派遣看護師の退職金がない不安が軽減すると思い始めました。
お金の不安を「仕組み」で解決できれば、退職金のために今の場所に縛られる必要はなくなります。
今回は、派遣看護師が働き方に捉われずに働くための「お金の準備術」をお伝えします。
- 今の職場を辞めたいけれど、将来の蓄え(退職金)がなくて一歩踏み出せない人
- 派遣看護師の高時給を、ただの生活費で終わらせたくない人
- 正職員じゃないと将来が不安という思い込みから自由になりたい人
派遣看護師に退職金がない仕組みの理由


「派遣は退職金が出ないから、老後が不安……」 と思われがちですが、実は「出ない」のではなく、形を変えて支払われていることがあるんです。
時給が高いのは「退職金の前払い」
派遣看護師の求人を見て、「常勤よりも時給が高めに設定されているな」と感じたことはありませんか?
実は多くの派遣会社が、退職金相当額(基本給の6%分)をあらかじめ時給の中に組み込んで支払っています。これを退職金の前払い制度と呼びます。
厚生労働省の指針により、退職金制度がない派遣会社は「時給を原則6%分上乗せすること」と定められています。そのため、ほとんどの派遣会社がこのルールに沿って高めの時給を設定していることがあります。詳細な支給方法は、契約書を確認するか派遣会社へ直接問い合わせてみましょう。
参考:派遣労働者の同一労働同一賃金 解説① ~労使協定方式~
手取りの多さに隠れた落とし穴
派遣になると月々の手取り額は増えるかもしれませんが、実はここに少し気をつけたいポイントがあります。
増えた手取りは、本来なら辞める時に受け取るはずの退職金を、少しずつ切り崩して毎月の給与で受け取っているだけです。
つまり、手元に届いた給料をすべて生活費や趣味に使ってしまうと、いざ仕事を辞める時の蓄えがゼロになってしまうので、注意しないといけません。
浮かれて使い切ってしまう人と、将来のために一部を避けておける人の差は、数年後の自由の差に繋がります。
だからこそ、派遣として自由に働き続けるためには、前払いされた退職金を自分で賢く積み立てる仕組みが不可欠です。
iDeCoを利用して自分専用の退職金をつくる


貯金や定期預金などで将来のお金を貯めていくことも大切ですが、派遣看護師こそ賢く使いたいのがiDeCo(イデコ)です。
一言でいうと自分でつくる、自分だけの年金(退職金)です。
そもそも、税金ってどうやって決まるのか?
税金は、毎月もらうお給料の全額に対してかかっているわけではありません。
お給料の中には、ここには税金をかけなくていいよという、あらかじめ引き算してくれる枠があります。この枠のことを、専門用語で控除(こうじょ)と言います。
代表的な控除(税金をかけなくていい枠)には、例えば以下のようなものがあります。
- 基礎控除:働いている人なら誰でも一律で引いてもらえる基本の枠です。
- 社会保険料控除:毎月お給料から引かれている「健康保険」や「厚生年金」の分は、税金がかからないように丸ごと引き算されます。
- 生命保険料控除:自分で民間の生命保険や医療保険に入って保険料を払っている場合、その一部を枠として引いてもらえます。
- 扶養(ふよう)控除:養っている家族(お子さんや高齢の親御さんなど)がいる場合、生活を支える大変さを考慮して枠が広がります。
このように、いろいろな理由で税金をかけなくていい枠があらかじめ用意されています。
年末調整でお金が少し返ってくるのはこの控除のおかげです。
つまり、税金を安くして手元のお金を増やすためには、この税金をかけなくていい枠(控除)が関係します。
そこで、自分の意思でこの枠をさらに大きくできる最強の助っ人が、iDeCoです。
iDeCoが節税に強い2つの理由
毎月のお給料明細を見ると、所得税や住民税などの税金が引かれていますよね。
iDeCoを使うと、先ほどお話しした国が引いてくれる枠(控除)を、自分の手でさらに大きくすることができます。
理由は大きく分けて2つです。
① お金を「貯めている間」の税金が安くなる
本来なら、お給料の全額に対して税金がかかります。
でも、iDeCoで貯金した分は税金をかけなくていいルールが適用されます。
例えば、月収25万円で、毎月2万円をiDeCoに回す場合
税金の計算をするときだけ、お給料が23万円だったことにして計算してくれます。
本来より「2万円分」お給料の見た目が少なくなった扱いになるので、その分だけ税金が安くなります。
② お金を「受け取るとき」も税金バリアで守られる
普通、銀行の貯金でお金を増やすと税金が引かれますし、お給料としてお金をもらうときも税金がかかります。
しかし、国にはがんばって働いて辞めるときにもらうお金(退職金)には、できるだけ税金をかけないようにしようという優しいルールがあります。
そのルールが退職金控除です。
退職金控除は、iDeCoに貯まったお金を将来まとめて一括で受け取った場合も適応されます。
国からの税金バリアに守られるため、貯まったお金をほぼ丸ごと、税金に取られずに受け取ることができるのです。
つまり、普通に貯金するよりも税金が安くなる分、手元に残るお金が確実に増えるという、使わないともったいない仕組みです。
職場が変わっても「自分専用の貯金箱」はそのまま
正職員の退職金は、同じところで長く働かないと増えません。
途中で辞めるとリセットされてしまうため、「本当は辞めたいのに、退職金のために辞められない……」と悩むことになるんです。
しかし、iDeCoは職場ではなく自分個人の持ち物です。
- A病院で派遣として働いているときも
- B施設へ移ってお仕事をするときも
- ちょっと派遣をお休みして、旅に出ているときも
自分の専用貯金箱は、どこへ行くときもずっと一緒です。
働く場所が変わっても、それまで貯めた分がリセットされることはありません。
どこへ行っても、コツコツと自分だけの退職金を育てていけます。
職場に縛られず、自分の好きな働き方を選べる派遣看護師にとって、iDeCoは一番の味方になってくれます。
- iDeCoの節税効果は、ご本人の年収や、他に加入している生命保険などの状況によって実際の金額が異なります。
- 受け取る際、積立額が大きすぎて国の無税枠(退職所得控除)を超えた場合は、超えた分にのみ一部税金がかかるケースがあります。
iDeCoの運用シミュレーション


実際にiDeCoを始めるとして、毎月の積み立てで、将来どのくらいになるの?という目安をまとめました。
ここでは、「年利3%で20年間運用できた場合」のシミュレーション(※1)を見てみましょう。
- 月1.5万円: 約490万円
- 月2.0万円: 約650万円
- 月2.3万円(※2上限額): 約750万円
月々2万円前後の積み立てでも、時間を味方にすることで、将来の安心につながる退職金を自分の手で育てていくことができます。
ただし、iDeCoは投資信託などの「商品」を選んで運用するため、最終的に受け取れる金額はこれからの運用の成績によって変わります。
選ぶ商品によっては、元のお金より減ってしまう(元本割れ)のリスクがあることも知っておかなくてはなりません。
「どうしても損をしたくない!」という場合は、元本が保証される定期預金のようなタイプを選ぶこともできます。
メリットとリスクの両面を理解した上で、自分に合った金額や商品を選ぶことが大切です。
なお、派遣看護師が積み立てられる上限額や、自分がいくら節税できるかの具体的なシミュレーションは、iDeCoの公式サイトで簡単に計算できますよ。
参考:iDeCo公式サイトの積み立て限度額はこちら(※2)
※1 これらはあくまでシミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではありません。
※2 iDeCoの制度や毎年の掛け金の上限額は、法律の改正によって変更されることがあります。最新の情報は必ず公式発表をご確認ください。
知っておきたい「退職所得控除」と注意点


先ほど「受け取るときも税金の優遇ルールで守られる」とお話ししましたが、実はいくつか知っておくべき注意点もあります。
iDeCoを賢く受け取るためのルールと、始める前の心構えを解説しますね。
20年加入で800万円まで非課税
現在のルールでは、iDeCoに20年間入り続けると退職所得控除の枠が使え、800万円まで税金がかからずに受け取れます。
先ほどのシミュレーションで、月2.3万円(現在の一般的な上限額)を積み立てて約750万円になった場合も、この枠の中にすっぽり収まります。
つまり、増えた分も含めた合計額を、そのまま丸ごと受け取れる可能性が高いです。
ここで1点だけ補足!
将来もし正職員に戻って病院から大きな退職金をもらったり、過去に他の場所で退職金を受け取っていたりする場合は、それらとiDeCoの枠を「合算」して計算するルールがあります。
「それだと枠が足りなくなって税金がかかっちゃう?」と不安になるかもしれませんが、受け取るタイミングを数年ずらすなどの裏ワザ(対策)もあります。
このあたりの「賢い出口戦略」については別の記事で詳しく解説しますね。
まずは「自分専用の退職金を作る」という最初の一歩を検討してみることが大切です。
60歳まで引き出せない
iDeCoの最大の注意点は、原則として60歳になるまでお金を引き出せないことです。
結婚、出産、引越しなど、急にまとまったお金が必要になっても、iDeCoに預けたお金を途中で引き出してあてることはできません。
しかし、これは裏を返せば「手元にあると、つい使っちゃう……」というのを強制的に防いで、老後まで着実に資金を守れる良さもあります。
わたしは「強制力がないとなかなか貯められないタイプ」なので、この引き出せないルールが逆にありがたいなと思って活用しています。
まずは「手元の貯金」を優先させる
iDeCoを始めるタイミングとして一番大切なのは、ある程度の貯金が手元にあることです。
目安としては、万が一病気やケガで一時的に働けなくなったときのために生活費の3〜6ヶ月分ほどの貯金が通帳にある状態が理想です。
数年以内に使う予定があるお守り代わりのお金まで、iDeCoの積立に回してしまうのはリスクが高すぎます。
iDeCoは毎月5,000円から始められます。
まずは生活を守るための貯金をしっかり確保した上で、その先の余剰資金で始めるのが派遣看護師として安心して資産運用を続けるコツです。
始める場合は無理なく割り切って積み立てられる金額から検討してみましょう。
常勤に縛られず、働き方を自由に選べる未来


「退職金がもったいないから、本当は辞めたいのに今の職場を辞められない……」悩みは、iDeCoという選択肢が解決の一つになります。
お金の不安を仕組み(システム)で解決してしまえば、無理に常勤で居続ける必要はありません。
iDeCoは月々5,000円から、1,000円単位で自分に合った金額を自由に設定できます。
まずは少額からでも自分専用の退職金というお守り(盾)を持つことで、派遣という働き方を楽しみながら、自分らしく自由にナースライフを送るための土台が手に入ります。
ただいきなりiDeCoと言われても、お金に余裕がないと一歩を踏み出しにくいかもしれません。
ズボラなわたしでもゆるく続けられた、常勤を辞める前にしてたゆるいお金管理のルールを知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。


知識が自由な働き方を支える


派遣の退職金がないというデメリットは、iDeCoを使って自分で補うことも可能なので、決してネガティブになる必要はありません。
わたしも始めたばかりの頃は「難しそう……」と後回しにしていましたが、一歩踏み出してみたことで、今の自由な派遣ナースという働き方にとても自信が持てるようになりました。
最後に、大切なポイントをもう一度振り返ってみましょう。
- まずは「手元の貯金(生活費の3〜6ヶ月分)」をしっかり確保する
- 余剰資金の範囲で、月5,000円からの少額で検討してみる
- 運用のリスクと、節税のメリットを正しく知る
この記事は、決して「iDeCoを絶対に始めてください!」とおすすめしているわけではありません。
やるかやらないかは、もちろん自由です。
ただ、医療業界にいるとお給料が比較的安定しているため、お金のことや税金の仕組みを改めて学ぶ機会が少なく、今の働き方に疑問を持つこともなく、ただ毎日を過ごしてしまいがちです。
お金について知っておくことは、これからの人生をたくましく生きていく上で本当に大切です。
「やる・やらない」は別として、まずは選択肢を増やすために知識として知っておくことが、あなたの今後のナースライフを大きく変えてくれます。
これを機に、ぜひいろいろなお金や制度の知識に触れて、あなたに一番ぴったりな働き方を選び続けていってくださいね。
派遣看護師の働き方について知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。








