
「救急外来に配属されたけれど、トリアージが難しそうで不安……」
「自分の判断で患者さんの診察順を決めるなんて、責任重大すぎて怖い」
救急外来(ER)に配属になり、最初にぶつかる壁がトリアージです。
トリアージブースで1人きり、判断が際どい症例を前にして「本当にこの色で合っているのかな?」と自分のアセスメントな不安になることは少なくありません。
しかし、トリアージは正しい知識とステップさえ押さえれば、確実に根拠を持ったアセスメントができるようになります。
この記事では、救急外来に配属なったナースに向けて、院内トリアージ(JTAS)の基本から、初日から求められるスキル、そして最短でスキルアップするための道筋を分かりやすく解説します。
- 救急外来に配属されたばかりで、トリアージに強い不安や苦手意識がある人
- 院内トリアージ(JTAS)の5段階判定について知りたい人
- 明日からの実践や将来のキャリアのために、今すぐ読むべきおすすめの本や必要な資格を知りたい人
院内トリアージの役割を知る


救急外来に配属されて、誰もがぶつかる壁がトリアージです。
まずはトリアージの全体像をスッキリ整理して、その役割を正しく理解することから始めましょう。
トリアージは2種類ある
医療の世界で行われるトリアージは、大きく分けると災害トリアージと院内トリアージの2種類です。
どちらも患者さんの緊急度(=今すぐ治療が必要かどうか)を見るものですが、その中身は少し違います。
| 災害トリアージ(非日常) | 院内トリアージ(日常) | |
|---|---|---|
| 行う場所 | 大地震や大事故の現場 避難所の医療救護所など | 病院の救急外来(ER) |
| 最大の目的 | 限られた資源で1人でも多く救う | 待合室での状態悪化(見逃し)を防ぐ |
| 医療資源 | 圧倒的に不足(物資も人でもない) | 十分に整っている(医師やベッドがある) |
| 優先順位 | 治療で助かる可能性が高い人が最優先 | 最も命の危険が迫っている人が最優先 |
救急外来で実践するのは、後者の院内トリアージです。
院内トリアージは、今一番危ない人を見逃さず、適切なタイミングで診察室へご案内するのが最大の役割です。
院内トリアージとは?
院内トリアージは、救急外来に受診した患者さんの緊急度を判断することです。
患者さんは、まずトリアージナースによって緊急度を区分されます。
院内トリアージの役割は以下です。
- 救急外来の「門番」:ウォークインで来る患者さんの主訴から、考えられる最悪の事態(疾患)を予測し、問診や観察を行って緊急度を判断します。
- 「受付順」ではなく「緊急度順」:診察の順番は、早く来た順ではありません。トリアージナースがアセスメントした緊急度の高さで決まります。
- 評価の指標は「JTAS」:緊急度の評価には5段階あり、それを決める共通の指標として「JTAS」があります。
- 状態の変化に合わせた「再評価」:待っている間に状態が悪くなることもあるため、時間経過に合わせて再評価を行います。再評価で緊急度が上がると、すぐに診察になる場合もあります。
JTAS 5段階判定:正しく色とレベルを覚えよう


院内トリアージ(JTAS)は、災害トリアージとは違う5つの色で緊急度が分けられます。
現場での判定ミスを防ぐためにも、まずは正しい色とレベルの組み合わせを確実にマスターしましょう。
表にする
| JTASレベル | 緊急度 | 診察の必要性 |
|---|---|---|
| レベル1 | 青(蘇生) | 心肺停止など。今すぐ処置室へ! |
| レベル2 | 赤(緊急) | 生命の危険。15分以内に診察。 |
| レベル3 | 黄(準緊急) | 30分以内に診察。強い腹痛や高熱など |
| レベル4 | 緑(低緊急) | 60分〜120分以内に診察。軽度の外傷など |
| レベル5 | 白(非緊急) | 120分以上待てる状態。薬の処方希望など |
ポイントは院内トリアージでは青が最重症。
「即戦力」として今すぐ身につけるべき武器


JTAS研修に行けるようになる前、救急初日の段階から現場で求められる必須のスキルが2つあります。
ICLS(またはACLS)の取得
トリアージで青の場合、その場で蘇生が始まります。
反射的に動けるスキルが必須となるため、そもそもこれは救急外来で働くなら必要不可欠な資格です。
臨床推論の自習
患者さんの主訴から最悪の事態(疾患)を予測し、判定の根拠を作る力を養います。
以下のような臨床推論の本を使って自習を始めるのがおすすめです。
公式に学ぶ「JTASプロバイダー研修」と受講条件


JTASは日本臨床救急医学会と日本救急看護学会が共同で行なっている、民間資格です。
- 研修の目的
自己流ではない「公式な物差し」を身につけるためのステップです。 - 受講資格
誰でも受講は可能で、経験年数の指定はありません。ただ、救急外来に配属になってから受講することで現場のイメージが湧きやすいため、数ヶ月〜半年ほどしてから受けるとより理解しやすいと思います。 - 受講まで
救急外来の業務に流れに慣れ、先輩がどのようにアセスメントしてカルテを見て「自分なら何色にするか」のシミュレーションをしてみるといいと思います。
3次救急レベルへステップアップするために活きるJPTECとJNTEC


現場の動きに慣れ、JTASプロバイダーを取ったその先に見えてくる、さらなるステップアップのための学びです。
これら(JTASも含め)はすべて民間団体が認定する資格であり、持っていなければ救急の仕事ができないというわけではありません。
資格がなくても現場で活躍はできますが、持っておくことで自分の動きに自信がつきます。
JPTEC(病院前外傷救護)
救急隊の動きと視点を知ることができます。ドクターカーナースやフライトナースなど、病院外に出動する場合は身につけておくといいものです。
JNTEC(外傷初期看護)
医師の先読みをし、重症外傷チームの要になるための資格です。3次初療で看護するスタッフ、特にリーダーは受けておくといいかもしれません。
トリアージは「相談」と「振り返り」でスキルアップできる


トリアージブースでは基本的に1人のため、「この評価は合っているのかな…」と最初は誰でも不安になります。
わたしはまだ自分の評価に自信はありません。
「青か赤か?」「黄か緑か?」など、際どいラインも多く、判断に困ることはしょっちゅうあります。
しかし、数をこなして経験することで知識が身につき、根拠を持った評価ができるようになっていきます。
初めは評価に迷ったり、不安に思うことも多いです。
そんなときは1人で抱え込まず、先輩に相談や振り返りをお願いすることで、より知識が身についていくでしょう。
一歩踏み出して学びたい方へ
もっと根拠に自信をつけたい、具体的な症例の判断基準を知りたいという方は、先ほど紹介したこちらの本を手元に置いておくのがおすすめです。
きっと、救急外来でのアセスメントの強い味方になってくれますよ。








